自宅出産って、自分の慣れ親しんだ環境であることからリラックスできるので、海外では自ら好んで行う妊婦さんも多いようです。そして実は昔の日本も自宅出産が主流でした。
しかしどんな妊婦さんでも自宅出産ができるわけではないことから、今では病院出産が主流となっています。中には、代々同じ助産院の助産師に自宅出産で取り上げてもらっている人もいるようですが、自宅出産ができる妊婦さんは、あくまで健康で経過も良好である人に限られています。
地域によって自宅出産に対応している病院もあれば、否定的な考えを持つ病院もあります。でも、どうしても緊急で自宅出産せざるを得ない状況になってしまうこともあり得ます。そんな万が一に備えて、赤ちゃんが無事に生まれてくる環境を準備しておくことが大切ですよね。
そこで今日は、万が一自宅出産してしまった時に必ずしておくべき処置方法についてお伝えします。ではご覧ください。
万が一自宅出産してしまった時に
必ずしておくべき処置方法
病院、産院に電話して適切な指示をうけましょう
家にいるうちに「まもなく生まれそうだ」という感じになってしまったら、日頃から定期的に通院していた産院・病院に電話して、その状況にあった具体的な指示を受けましょう。そして万が一に備えて救急車もよんでおきましょう。
陣痛がきてしまい、救急車・病院に行くことが間に合わない場合は、自宅で赤ちゃんを出産せざるを得ない状況になります。そんな時に備えておくのが、部屋を汚さないように、ビニールシート、赤ちゃんが生まれた時にも必要なたくさんのバスタオル、そして部屋を暑いと少し思う程度ぐらいに暖めておいてください。
赤ちゃんに良くないので冷える場所や風呂場などで産むことは控えましょう。特に冬場は、十分暖かくしておいてください。
産む姿勢にも注意が必要です
1人で自宅出産しなければならない状況も考えられますので、産む姿勢は、いきみをコントロールしやすい横向きや、背を45度くらい倒している姿勢がおススメです。
会陰が、裂傷を起こさないように、勢い良くいきまない事が大切です。焦らずリラックスしてできるだけゆっくり産むように心がけましょう。もし陣痛の合間に少し余裕があるようでしたら、骨盤を広げてくれたり、背中の痛みをやわらげてくれたりするスクワットの姿勢をしてみてください。
赤ちゃんにも酸素の供給を増やしてくれる効果もあります。また、背中の痛みを軽減してくれる上に、赤ちゃんの回転を助けてくれる四つんばの姿勢もおススメです。でも、そばに身内がいてくれない場合は、赤ちゃんが落っこちてしまう可能性があるので、ほどほどに気を付けてくださいね。
赤ちゃんが出てきたと感じたら
赤ちゃんの頭が出てきたら、頭を少し押さえるようにして怪我をしないように支えてあげてください。赤ちゃんの頭のてっぺんが見え始めたら、いきまずフーッフーッと息を吐いたりして、頭が急に飛び出さないように会陰にほんの少し逆圧をかけてあげます。
赤ちゃんの首に臍帯が巻きついていたら、指に引っかけてそっと外してあげてください。次に、赤ちゃんの頭を両手でそっとはさんで、決して引っ張らないようにやや下に向けて、同時にいきみながら片方の肩が出るのを待ちます。
上腕が現れたら、反対側の肩が出るのを感じ取りながら、慎重に頭を持ち上げてあげてくだい。両肩が完全に出てしまえば、残りの部分はするりと出てくるはずです。焦って無理やり赤ちゃんを引っ張り出さないように落ち着いてくださいね。
産声を確認しましょう
無事、出産できたらまずは赤ちゃんの全身を拭いてあげましょう。そして、バスタオルに包みしっかり抱いてあげてください。生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ体温調節機能が未熟なので、羊水で濡れていたりするとすぐに体温が奪われてしまいます。
例え暑い夏でも、包んであげることを忘れないでください。赤ちゃんは、初めての呼吸に備え、誕生の直前から直後にかけて鼻、口から肺に入っていた羊水を自分でだらだらと出します。鼻や口をふいてあげると、それを少し助けてあげられます。
そこへ肺へワッと空気が入り、産声が上がります。もし、なかなか泣かない場合は背中をさすったり、おしりを叩いて刺激したりしてみてください。ごくまれですが、羊膜に包まれたまま産まれてしまう赤ちゃんがいます。その場合は、膜を破いてあげてください。
赤ちゃんの保温を心がけましょう
赤ちゃんの産声を確認したら、母体の出血量を抑えるためにも仰向けに寝てしまいましょう。こうしてあげることによって、吐き残した羊水が出やすくなります。
赤ちゃんは、お顔は横向きにしてうつ伏せ状態にし、自分の胸の上に寝かせてあげます。このとき、親子の肌と肌が直接触れ合うようにして抱いてあげてくださいね。お母さんの体温で赤ちゃんが温まります。このままタオルケット、毛布など暖かいものをかけてあげると十分に暖かい状態です。
そして、ゆっくりと救急車の到着を待ちましょう。その間、胎盤が赤ちゃんより低い位置にあるようにしてください。胎盤の方が高いと、拍動が止まる最初のほんの数分だけですが、胎盤の中にある血液が赤ちゃんに流れ込み、赤ちゃんの血液が多くなりすぎてしまいます。
へその緒は、そのままにしておきましょう
胎盤が出るための軽い陣痛を覚えたら、軽くいきむだけでスルッとでてきたりします。胎盤は、出産後5分後~30分前後ぐらいで出てきます。間違っても無理やり胎盤を引っ張り出そうとはしないでください。へその緒もそのままです。
絶対に自分で切ってはいけません。処置を失敗すると母子ともに大変危険な状態になります。また、消毒したもので切らないと切り口から感染を起こす可能性もあるので、必ず病院でやってもらいましょう。
へその緒は早く切る必要もないので、救急車で移動する場合は、へその尾をつけたまま、赤ちゃんをお腹に乗せて病院まで運んであげましょう。また、落ち着いてきたら、救急車を待っている間でも母乳を上げてみてください。
出生届について
出産後は10日以内に市役所・区役所・役場へ手続きに行ってください。児童手当・乳幼児医療の手続きも行うこともおススメします。自宅出産の場合、出生届を出すときには出生証明書に助産師や医師のサインが必要になります。
出産証明書にサインがなければ、赤ちゃんが生まれたことを証明できないため、出生届を受け付けてくれない可能性もあります。仕方なく自宅出産になってしまったとはいえ、役所から手続き書類の提出や妊娠・出産の証拠書類の提出を求められる事もあります。
また、調査員から事情聴取されることもあります。その為、妊娠が発覚した時点で通う病院や産院で万が一、自宅出産になった場合手助けしてくれるかどうか事前に確認しておいた方が良いかもしれませんね。逆に手助けしてくれる病院を選んで通院するもの良いと思います。
いかがでしょう、日本では、まだまだ賛否両論がある自宅出産ですが、慣れない環境でのストレスや出産への不安からお産の痛みは、ひどくなるとも言われているので、リラックスできるという点は陣痛緩和には良いかもしれませんね。でも、出産は昔も今も妊婦さんが命懸けで行うものです。
万が一、予定外に自宅出産になったとしてもできるだけリスクを軽減する方法をとっていきましょう。例えば臨月時には絶対一人でいないようにするだけでも、全然違うと思います。家族の協力得ながら1番安全に出産できるように少しずつ準備していきましょう。
まとめ
万が一自宅出産してしまった時には
・病院、産院に電話して適切な指示をうけましょう
・産む姿勢にも注意が必要です
・赤ちゃんが出てきたと感じたら
・産声を確認しましょう
・赤ちゃんの保温を心がけましょう
・へその緒は、そのままにしておきましょう
・出生届について