近年、出生率が全体的に下がっている中、日本では初産時の母親の平均年齢は30歳を突破し、35歳以上の高齢出産の実数が伸びています。その背景には、女性の社会への進出・女性の晩婚化・経済的理由・不妊治療などがあげられ、40歳の年齢を超えての出産も同様に増加傾向にあります。これは、時代の流れとともに生活スタイルが多様化し、女性が自分らしい人生をおくっている証拠でもあるでしょう。
女性の妊娠・出産というものは、年齢問わずリスクが伴います。20歳代の人でも難産であったり、40歳以上のひとでも安産であったり、個人個人さまざまです。しかし、40歳以上の高齢出産では、統計的にリスクは増加していることは事実です。そこで、リスクを回避または、リスクの度合いを下げ、40歳以上でも安産できる9つの対策を紹介します。
高齢出産、年齢40歳以上でも安産できる9つの対策
力を抜いて、楽しいマタニティライフを
40歳以上の高齢出産をした人の中には、年齢相応の責任感や、社会的地位のプライドなどの考え方が妊娠・出産にも引きずってしまいがちです。また、家事や育児の両立を完璧にこなさなくては、余裕を見せなければと力を入れすぎてしまうことが多いです。「40歳代の妊娠」と特別に考えすぎてはいませんか?力を入れすぎるのは過度なストレスになり流産を引き起こす可能性が増します。母親1年生は年齢に関係なく1年生です。はじめから無理をせず、力を抜いて、楽しいマタニティライフを送ることを心がけましょう。
“絶対安産!”ママの自信から良い胎教がスタートします
高齢出産におけるリスクや危険性は、テレビや各情報でも取り上げられており、いざ自分が高齢出産をするとなると、特に不安は大きくなりますよね。一般的に、高齢出産は35歳以上と取り上げられており40歳代となると勝手に40歳代の妊娠・出産像を作り上げてしまいがちですが、40歳代でも安産の方は本当にたくさんいます。
ママの不安は赤ちゃんにも伝わります。赤ちゃんにママの年齢は関係ないですよ!ママが“絶対安産するよ!がんばるよ!”と自信をもって伝えることで、初めて、良い胎教がスタートするのです。ママが元気であれば、赤ちゃんも元気が送り込まれます。ママの愛情と優しさは赤ちゃんの安らぎになります。常に余裕とゆとりをもって、精一杯、おなかの赤ちゃんの成長の手助けをしてあげてください。
高齢出産の体力づくり
高齢出産の妊娠・出産は、とくに体力勝負となります。年齢による基礎体力の低下にはなかなか逆らえません。だからこそ、きちんとした対策が必要になります。妊娠中の運動は、安産のためだけではありません。産後の育児にもとても大切なことです。
“妊産婦さんの運動”にはいろいろな運動がありますよね。妊産婦さんだけでなくても、運動の得手不得手はあるものです。また、20歳代の女性の適切な運動と40歳代の女性の適切な運動には差があります。運動が、負担やストレスになるようでは、流産や早産の可能性を高めたり、赤ちゃんに先天性の異常を来す恐れがあります。体力づくりの運動を始める前には、必ず、かかり付けのお医者さんと相談し、今の自分と赤ちゃんに合った運動をすることが安産する大切な対策です。
高齢出産と食事管理
高齢出産のハイリスクとして、母体自体が貧血症に陥ってしまうことがあげられます。貧血症の影響は、母体だけではなく、おなかの赤ちゃんにも血液が送り込まれなくなり、母子ともに大変危険です。
この危険を回避するために、一番効果的な方法は、妊娠中のバランスの良い食事管理です。食事管理をすることは、貧血症を回避するだけではなく、母体の体調管理や、赤ちゃんにもとても大きなメリットがあります。日々、意識的に食事管理をし、安産、そして元気なママのための母体づくりに心がけて、赤ちゃんにたくさんの栄養を届けてあげてください。
年齢とともに太りやすくなるのは妊婦も同じ
人は、心臓を動かす・呼吸をする・体温調整をするといった「基礎代謝」というエネルギーを使って生きています。この「基礎代謝」は、一日の総消費エネルギーのうち7割を占めていると言われています。
基礎代謝は18歳のころから低下し始め、基礎代謝に使われなかったエネルギーは脂肪となって蓄積されます。厚生労働相の調査においても、30歳代の女性はプラス3㎏、40歳代の女性はプラス6㎏と同じ生活をしていても太りやすいとされています。
実は、この脂肪が安産に影響するのです。赤ちゃんが生まれるときに通ってくる産道は、子宮腔から膣腔までは、筋肉や靱帯などで出来ており、非常に脂肪の付きやすい部分です。40歳代の女性の身体は、20歳・30歳代よりも基礎代謝が低く、脂肪が付きやすいのです。
身体全体に脂肪が付きやすいという事は、産道は一層脂肪が付きやすいことになります。妊娠中に体重が増加してしまうと調整することが非常に困難です。そのため、40歳代の安産のためには事前に自分の年齢の身体の状態を理解し、対策を取ることがとても必要なのです。
イメージトレーニング
自分らしい安産スタイルを思い描いてみたことはありますか?「安産でありますように。」と願ったり、妊娠・出産のトラブルやリスクを考えたり、先輩ママの体験談を参考にしたりすることは日々していると思いますが、“理想の安産スタイル”を思い描いてみたことはありますか?
どのような妊娠・出産が理想なのかということをイメージすることです。不思議なことに、人間の生理機能は頭の中で描いたイメージにも反応を示します。そしてイメージした動作に必要な筋肉も反応を示すと言われているのです。
40歳代の出産はこのイメージトレーニングを是非有効的に活用してください。もちろん、40歳代の安産をイメージするのではありませんよ。20歳代であろうが30歳代であろうが、年齢問わず、とにかく理想の安産スタイルを思い描き、安産のイメージトレーニングを行ってくださいね。
最新の分娩システム
最近では、陣痛室と分娩室、回復室がひとつになった、LDRシステムというものがあります。通常、病院では妊産婦さんは、陣痛室→分娩室→病室(回復室)と移動しますが、LDRは移動せずにリラックスして分娩が出来るとされています。
このシステムは、万が一の際にも、即座に対応できる体制が整っているため、高齢者出産やハイリスクの妊産婦さんが安心して出産できるものとして近年多く利用されています。40歳以上の高齢出産には、精神的に安心して出産に挑むためにも、視野に入れておきたい対策の一つになります。
計画分娩・最善の出産方法を十分に考えて
計画分娩とは、医師による徹底した管理のもと分娩に臨むものです。具体的には、分娩前処置や誘発剤を使用し、予測される分娩のリスクを事前に医療的に回避するという方法です。
計画分娩は、陣痛が突然始まる普通分娩と違い、産む日が決まっているので、その日までに陣痛や破水がなければ、落ち着いて過ごすことが出来ますし、陣痛の痛みも硬膜外麻酔でコントロールできるので、母体にも赤ちゃんにも負担が軽減されるというメリットがあります。母体と赤ちゃんのことを十分に考えたうえで、普通分娩か計画分娩かを選択することは、安産できる対策の重要なものになります。
疲れる前に、計画的に休息を
「40歳代で妊娠・出産」。
やはり、日々安産のための対策、赤ちゃんのためにと頭は常にフル回転しているのではないでしょうか。考えたり、運動をしたりすることはとても大切ですが、自分でも気づかないうちに、それと同じだけ身体には負担になっています。
40歳を超えての安産に大切なことは、無理は決してせず、疲れを感じる前に計画的に休息を取ることです。疲れは、病気の引き金となります。健康なマタニティライフをおくるためにも、赤ちゃんに安らぎを与えるためにも、計画的な十分な休息を心がけてください。
いかがでしたでしょうか。高齢出産40歳代以上でも安産できる9つの対策。
40歳代の安産のためには、安産に対する知識と、自分に合った安産対策がとても大切です。実は、私自身、43歳、初産で自然分娩経験者なのです。私は、万が一の時の不安を取り除くために、LDRシステムのある病院で出産しました。落ち着いて出産に取り組めたこともあり、自分の描いた通り、無事安産を終えることができました。
『大丈夫!』ママの努力や思いは、全部赤ちゃんに伝わっています。さぁ!一緒に40歳代でも安産できることを証明しましょう!
まとめ
高齢出産、年齢40歳以上でも安産できる9つの対策
・力を抜いて、楽しいマタニティライフを
・“絶対安産!”ママの自信から良い胎教がスタートします
・高齢出産の体力づくり
・高齢出産と食事管理
・年齢とともに太りやすくなるのは妊婦も同じ
・イメージトレーニング
・最新の分娩システム
・計画分娩・最善の出産方法を十分に考えて
・疲れる前に、計画的に休息を