様々な事情により、離婚という決断を行うことになった夫婦。子どもがいない夫婦の場合、2人の話し合いや財産分与の問題だけで解決することになりますが、子どもがいる場合は、もうひとつ大事な話し合いが行われることになります。
それが「親権」。どちらも親権が欲しいという場合なかなか当人たちだけで解決することが難しく、多くの場合「離婚調停」で決めることになります。どうしても親権を勝ち取りたいのであれば、まず、親権について学び、裁判所が親権者にふさわしいと判断するポイントを理解してください。
ポイントを理解することで、的を絞ったPRができますので、離婚調停も優位に進めることが可能です。裁判?離婚調停?離婚調停で親権を取るためにはどうすればいいの?と、悩む人のために、今回は離婚調停で親権を取るために必要な5つのことについて解説します。
離婚調停で親権を取るために
備えておくべき5つのこと
親権について学ぶ
親権というものは、結婚生活を送っている間は特に意識することがありません。そのためいざ離婚となり、親権とは?と考える人も多いはず。親権とは、簡単に言うと、どちらが主に親として育てていくかということ。
この親権、注意点があります。子どもが既に成人している場合や、未成年でも結婚している場合は親権をどちらが持つか決める必要はありませんが、一刻も早く離婚したい!そのあとで親権をどちらが取るか決めたい!と考えておられる方がもしいたとしたら、ちょっと待ってください。夫婦の間に子どもがいる場合、親権者を決める前に離婚をすることはできません。
離婚調停の流れとは
離婚調停には大まかな流れが存在します。その流れを頭の中に入れておいてください。まず最初に、家庭裁判所に調停の申し立てを行い、調停期日の決定を行います。そして第一回の調停が行われ、それでも結論が出ない場合は第二回、第三回と調停が続くことになります。
家庭裁判所調査官の役割を理解する
離婚調停において、最終的に親権をどちらが持つことになるのか判断するのは裁判所ですが、その判断材料を集める立場として、家庭裁判所調査官という人がいます。家庭裁判所調査官は、子どもから聞き取り調査を行ったり、学校や家庭訪問を行うなどして、中立的な立場から、どちらが親権を持つべきかというデータを集めることになります。
家庭裁判所調査官は、もちろん親からも聞き取り調査を行います。子どもへの愛情、現在までの養育環境や、今後の養育方針、経済的なことなど総合的なことを調査し、裁判官に報告することが調査官の役目です。
親権を獲得するためのポイント
離婚調停の流れや調査方法がわかれば、後は親権獲得のポイントを押さえるのみです。親権を判断するポイントとして、あげられるのが「子どもへの愛情」「親の精神状態や健康状態」「子どもの意思」「経済的な余裕」です。
子どもへの愛情は言うまでもないことですが、これは口だけでなく今までの養育状態からも総合的に判断されます。そして精神不安定であったり、身体的に病弱であったりする場合も子どもを育てる不安材料となってしまいますので、健康であればあるほど良いでしょう。
また、子どもの意思も重要です。基本的に15歳以上の子どもであれば家庭裁判所で子どもの意思を問われ、その意思が尊重されますがそれ以下の年齢の子どもの場合は、調査官の聞き取り調査などから見て判断されます。
最後に、経済的な余裕も加点材料となります。経済的な余裕が全てを左右するわけではなく、慰謝料や養育費という形で相手から受け取ることもできますが、しっかりとした収入がある場合はアピールするべきです。
ポイントを踏まえた上でPRを!
調査官が家庭訪問に来た際には、上記のポイントを上手くPRしましょう。嘘をついてはいけませんが、自分は親権者にふさわしいと感じてもらえるような言動、行動を心がけることが大切です。
例えば、家の中があまりに散らかっていたり、身だしなみに気を使わず清潔感がない姿を見せてしまったりすると、親権者にふさわしくないと判断されてしまう可能性があります。
また、相手よりも自分の方が親権者にふさわしいと言える点はしっかり伝えることも大切です。例えば子どもと過ごした時間があきらかに長いというようなことでも構いません。一緒に出かけた写真や、記録など証拠となるものもしっかり見せましょう。客観的に見てもわかるデータであればあるほど、裁判官も判断がしやすくなります。
いかがでしたか。離婚調停で親権を取るために必要なポイントは、そう多くはありません。また、子どもが小さな場合は基本的に母親が親権を取ることがふさわしいとされていますので、この記事を読んでくださっているあなたが母親であれば、基本ポイントを押さえておくことで親権を取れる可能性はぐっとあがるはずです。
あなたが父親の場合は、母親に目立った問題がない場合すぐに親権を取ることは難しいかもしれません。しかし、だからといって父親が親権者になる可能性がゼロではありませんし、もし仮に今既に別居状態であり、子どもと父親が共に生活しており、また子どももこのまま父親と暮らしたいという意思がある場合は、親権が認められるパターンが多くなっています。
子どものためにも、またあなた自身のためにも、離婚調停を優位に進め、親権を勝ち取るためにこの情報を役立ててください。
まとめ
離婚調停で親権を取るために備えておくべきポイント
・親権をどちらが取るか、決めてからでないと離婚はできません
・離婚調停で親権を取るためには、家庭裁判所調査官を味方につけましょう
・離婚調停で親権を取るために必要とされているものは「子どもへの愛情」「心身の健康」「子どもの意思」
・経済力は、離婚調停での親権判断材料最優先事項ではありませんがないよりはあったほうが良いです
・相手よりも自分が親権を取るのにふさわしいというPRをしましょう